ABMは、BtoBマーケティングの世界では以前からある概念であり、決して珍しいものではありません。
しかし、マーケティングを行う上でABMを知らない担当者も少なくありません。
また、ABMに対して効果的なインサイドセールスとは何かに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ABMに関しての知見や手法、またABMと相性の良いインサイドセールスに関してわかりやすく解説します。
\最短1ヶ月から試せる/
SFA Hands-onならオフラインマーケ施策をまるっと外注
このように感じていませんか?
テレアポもお手紙DMも試してみたけど営業課題の解決に繋がらない。
そもそも自社に合うオフラインマーケティング手法が知りたい!
目次
ABMとは?(意味とマーケティング戦略)
ABMとは、(Account Based Marketing)の頭文字をとった言葉で、企業(法人)をターゲットとしたマーケティング手法を意味します。
マーケティング部門が、不特定多数の潜在顧客をターゲットとした「リードジェネレーション」(見込み顧客の発掘)を行うマーケティング手法とは異なり、ABMはターゲットの企業をセールス部門が選定し、アプローチをしていくという違いがあります。
企業全体をターゲットとして営業活動を行うため、顧客の決済権限がある部門や、各部門長、チームリーダーへの網羅的なアプローチが必要となってきます。
SFA(Sales Force Automation)や、MA(Marketing Automation)が普及したことによって、ABMが注目されるようになりました。
なぜなら、これらのツールへ顧客の情報を蓄積し、部内だけでなく部門間と情報を常に共有することで、ABMが成功しやすくなるからです。
SFAとは、営業支援システムを意味します。営業マンの活動内容や顧客情報、案件情報を蓄積し、社内で共有することで営業活動を効率的に行うことが可能となり、会社全体の売上の向上を実現します。
またMAとは、マーケティング活動の業務を自動化するツールを指します。
顧客に対して、定期的なメルマガの配信やリードクオリフィケーション(顧客の選別)などを自動化できます。
また、SEO対策を施すための自社サイトのデザインも、専門的な知識がないスタッフでもMAを活用することで簡単にカスタマイズが可能となり、時間や手間を大幅に削減できます。
これらのツールに蓄積された顧客の情報を分析し活用することで、ABMを実施しやすくなります。
さらに詳しく
ABMにはインサイドセールスが不可欠
インサイドセールスとは、内勤営業のことを指します。ABMを実現するために必要となるのが、インサイドセールスです。
なぜABMの実現に、インサイドセールスが必要なのでしょうか。ポイントは以下の3つに絞られます。
- 早期の段階で見込み顧客の状況を把握できるから
- 外勤営業の訪問前に顧客の情報を把握することで成約率を高められるから
- SFAやMAツールへ顧客情報を蓄積することで次回の戦略に役立てられるから
これまでの営業スタイルは、1人の営業マンが顧客の発掘から提案、受注までを行っていました。それに対しインサイドセールスは、見込み顧客のリストをもとに、電話やメール、チャットなどを活用して顧客へアプローチする「内勤営業」の業務だけを分業した営業手法です。
顧客への定期的なアプローチにより、購買意欲が高まった顧客情報をフィールドセールス(外勤営業)へパスするまでが、インサイドセールスの役割です。
また、ABMにおけるインサイドセールスは、テレアポのように顧客リストを上から順に電話をして、アポを取り付けるような営業手法ではありません。
ターゲットの企業が抱えている問題点や経営課題を分析し、どのように攻略していくのか戦略を立て、効果的にアプローチしていきます。
このような、ABMにおけるマーケティング手法を成功させるためには、時間をかけて顧客との関係を構築していく、インサイドセールスの営業手法が不可欠となってくるのです。
さらに詳しく
ABMにおけるインサイドセールスの利点
ここでは、次のようなABMにおけるインサイドセールスの利点について解説します。
- 明確なターゲットへ営業資源を投入できる
- 効果度合いを検証しやすい
- 各部門の連携がしやすい
それぞれ見ていきましょう。
明確なターゲットへ営業資源を投入できる
リードジェネレーションのような、幅広い潜在顧客に対して網羅的に実施するマーケティング手法に比べ、ABMはターゲットが明確であるため無駄が少なく、最適なマーケティングを行えます。
したがって、資金や人材のリソースを集中的に投入することが可能となります。
それにより、受注確度の高いターゲットに絞ってマーケティングを行えるので、より効果的なマーケティングを実施できます。
効果度合いを検証しやすい
ABMによるインサイドセールスは、一般的なリード獲得よりも「マーケティング効果の度合い」を検証しやすいメリットがあります。
なぜなら、アプローチする対象が限られているため、どの企業に対してどのような営業活動をしたのかが検証しやすいからです。
たとえば、キャンペーンなどを打ち出した際、ターゲットとしている顧客の行動を追いかけることで、どのような結果へ結びついたのかが明らかになります。
これらの検証結果から、明確な根拠より導き出されたその後のマーケティング活動が、精度の高いものになっていくのです。
各部門の連携がしやすい
営業部門とマーケティング部門が、完全に分かれている企業も少なくありません。
しかし、ABMにおけるインサイドセールスは、各部門の連携がしやすい特徴があります。なぜなら、各部門が独立していてはABMを実施することが困難だからです。
ABMを実施する場合、顧客の志向や行動をもとにマーケティング活動を行うため、キャンペーンやその他の施策を打ち出す際も両者が連携することで、効果的なマーケティングが可能となります。
またさらに、SFAやMAツールを活用することで、部門間の最新情報の共有がしやすくなります。
ABMのためのインサイドセールス方法
ABMを成功させるためのインサイドセールスには、以下にあげる2種類の方法があります。
- インバウンドコール
- アウトバウンドコール
それぞれ解説していきます。
インバウンドコール
インサイドセールスにおけるインバウンドコールとは、ターゲットである企業の名刺やリード顧客をすでに持っているケースのアプローチです。
この場合、ターゲット顧客の情報の整理が非常に重要です。
これまでの法人営業では、営業マンがそれぞれリードを担当として抱え、それぞれの営業手法で顧客へアプローチしていました。
しかし、ABMでは以前の法人営業のスタイルのように「点」で攻めるのではなく、「面」で捉えてターゲットを攻略していきます。
SFAやMA、CRM(顧客関係管理システム)などを駆使して社内で情報を常にオープンにし、顧客のどの部署が決済権限をもっているのか、そして誰がキーマンなのかを事前に把握しておきます。
そうした上で、電話をかける先の優先順位を決定し、順にアプローチしていきます。
さらに詳しく
アウトバウンドコール
インサイドセールスにおけるアウトバウンドコールとは、ターゲット企業の名刺情報やチャネルなどがまったく無いケースのアプローチ方法です。インバウンドコールよりも難易度が上がります。
ターゲット企業の代表電話を、インターネットで調べてコールします。しかし、うまく担当者とつながれば良いのですが、確率としては非常に低いです。
また、顧客のホームページの問い合わせ窓口からメールをする手法もありますが、この手法も確率としては非常に低い方法です。
他の良い方法としては、顧客を紹介してもらったり、チャネルを利用したりすると商談化の確率があがります。
たとえば、自社の営業マンや他の部署のスタッフの知人を通じて、顧客へアプローチする方法です。
また、展示会などに参加し、顧客の説明員や責任者へ事情を説明して、ターゲットとなる部署へと繋いでもらう方法もあります。
さらに、顧客の社長へ直接手紙を送る手法もあります。うまくいけば、成約までのスピードは格段に早いのがメリットです。
【ABM】インサイドセールスのポイント
ここでは、ABMにおけるインサイドセールスを成功させるためのポイント2つについて解説します。
- 戦略決定とKPIの設定
- ターゲットリスト作成とアプローチ
- アポイント獲得とBANTCの収集
それぞれ見ていきましょう。
戦略決定とKPIの設定
ABMによるインサイドセールス成功のポイントは、「戦略の決定」と「KPIの設定」です。
まずは、戦略の設計からはじめますが、自社の既存顧客との折衝記録などから、自社のどのサービスが人気があるのかを把握することで、理想とする顧客像(ターゲット)を想定します。
その後、設定した顧客像の理想から、条件を少しづつゆるめて複数のランクに分け、それぞれに条件を設定していきます。
この際、同時にKPIの設定も行っていきます。KPIとは、(Key Performance Indicator)の頭文字をとった言葉で、日本語では「重要業績評価指数」と訳されます。
組織の目標を達成するために、各業務のプロセス毎にブレイクダウンした目標値のことを意味します。
KPIは、組織の最終目標であるKGI(Key Goal Indicator)、つまり「重要目標達成指標」を達成するため、進むべき方向が間違っていないかを確認するための「計測器」のような役割を果たします。
さらに詳しく
ターゲットリスト作成とアプローチ
ターゲットリストとは、営業活動で戦略的にアプローチするためのターゲット顧客の情報をリスト化したものです。
また、ターゲットリストの作成で最も重要なのは精度です。いざリードの情報がフィールドセールスにパスされても、なかなか受注に結びつかないケースはよくあります。「この顧客はいける」という営業的感覚を数値化・言語化して、リストに落とせるようにするのがABMのキモなのです。
したがって、ターゲットリストは質の高いリストの作成が不可欠です。質の高いターゲットリストの条件として、次の3つがあげられます
- 情報が新しいものに更新されていること
- 情報が重複していないこと
- 必要な情報が揃っていること
【MEMO】
※ターゲットへのアプローチのポイント
ターゲットの顧客へ上手にアプローチするためには、トークスクリプトを作成しましょう。
トークスクリプトとは、顧客へアプローチする際の営業トークを、あらかじめ台本として作成しておくものです。実際に顧客へコールした際、その台本にならって営業トークを進めていくことで、「次に何の話しをすればよいのか」というような困った状況にならないようにします。
アポイント獲得とBANTCの収集
インサイドセールスがアポイントを獲得し、提案や受注業務は外勤のフィールドセールスが実施するプロセスになります。もし、インサイドセールスが顧客とのアポイントを取得できずに商談化できなかったとしても、獲得した「BANTC」の情報は、その後の顧客へのアプローチへ十分に活かせることが可能です。
「BANTC」とは、次にあげる単語の頭文字から成り立っています。
- Budget: (顧客の予算)
- Authority: (決裁者は誰か)
- Needs: (顧客が求めているもの)
- Timeframe: (購入を検討している時期)
- Competitor:(競合他社の状況)
これらの情報は、これまでフィールドセールス(外勤営業)が顧客へ訪問してヒアリングし、初めて収集できるものでした。
しかしインサイドセールスでは、顧客訪問をする前の段階、言わば商談化する前にこれらの情報取得が可能となります。
「BANTC」の情報は、SFAやMAツールへ蓄積されるため、その後のABM戦略に役立てられるようになります。
まとめ
ABMとは、従来の法人営業と似てはいるものの全く異なる営業の概念です。
なぜなら、SFAやMAツールを活用して顧客の情報を蓄積し分析を行うことで、効率的に成約へと結びつけるマーケティング手法だからです、
また、ABMの導入には、外勤営業と内勤営業を分業させたインサイドセールスの活用が不可欠です。
過去の顧客の行動を分析し、それを根拠とした精度の高いターゲットリストを作成した上で顧客へアプローチすることで、商談化への成功率をあげます。
ABMにおけるインサイドセールスは、商談前に顧客の経営課題や問題点を把握できるという利点を活かし、しっかりと戦略を準備した状態でフィールドセールスが顧客へ訪問することで、会社の売上の最大化が実現できます。
この記事が、ABM導入の一助になれば幸甚です。
株式会社Goofyではインサイドセールス・SFAの導入支援サービス「SFA Hands-on」を提供しています。
インサイドセールスCRM導入の成功を左右する体制構築を企業の状況に合わせた形で行っておりますので、インサイドセールスまたはSFAツール導入を検討中の担当者さまはぜひご相談ください!