近年、企業のIT化は大手企業だけにとどまらず、中小企業にまで及んでいます。
なぜなら人材不足によって、営業活動への効率化や更なる生産性の向上を目指している企業も多いからです。
一方セールステックとはどのようなものなのか理解している人が、まだ多くはない現状があります。
そこで今回はセールステックとは何なのか、導入するためのポイントについて分かりやすく解説していきます!
目次
セールステックとは?
まずはセールステックとは何なのか、注目されている理由と背景などについて解説していきます。
- セールステックの基本
- セールステック導入でできること
- 注目される理由と背景
セールステックの基本
セールステックとは、営業(Sales)と技術(Technology)をかけあわせた造語で、ITを活用しながら営業活動の効率化や生産性アップを図る手法、またはツールのことを指します。
実は海外では既に広く使用されている言葉ですが、近年では日本でも注目されつつあります。
そこで、以下にてご紹介するセールステックの定義や導入による効果、注目されている理由と背景について知り、営業活動の効率化を目指しましょう。
セールステック導入でできること
近年リモートワークや働き方改革などが進んでいることもあり、セールステックの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
以下では、導入することで期待できる効果についてご紹介します。
営業活動の効率化
セールステックを活用する効果として、営業活動の効率化が期待できます。
なぜなら顧客の基本情報ややり取りの履歴、受注実績や予算などの営業活動に関する情報をツール内に一元化できるからです。
さらに一元化された情報はチーム内での共有が容易で、スケジュール管理やレポートなどの業務の効率化も図れるでしょう。
また、ツールを使用すれば次にアクションすべきことが明確に分かるようになるので、売り逃しの防止にもつながります。
一般的に営業活動においては数件を同時に対応していくことが多いため、優先順位やスケジュールの管理にも役立てられるでしょう。
一方、現状アクティブではない顧客に対しても、再アプローチをすべきタイミングにアラートがくるように設定しておくと取引再開の目処にも活用できます。
以上のように、各顧客に合わせて適切なタイミングで対応ができるので、売り逃しや無駄な作業を削減し、効率よく営業活動を行えるようになるのです。
社員の負担や人件費の削減
SFAやCRMなどのツールを活用することで手入力で行っていた作業などの工数を減らすことができ、社員の負担や人件費の削減が期待できます。
これが重要な理由は、近年ワークライフバランスを重視する取り組みの一環として、社員の負担が削減されることで定時に仕事を終えてプライベートを充実させることが必要とされているからです。
またツールの導入により作業の時間が短縮できることで、人件費の削減や人手不足の解消にもつながることが期待できます。
今後、少子高齢化が進むことにより労働人口の減少が予測される中、少ない人数でも業績を維持できる仕組みを整えておくことが重要だと言えるでしょう。
生産性のアップ
導入の効果として、生産性のアップも期待できます。
なぜならこれまで各営業担当者がそれぞれで行っていたアプローチ方法などが、セールステックのツールによって可視化され、チーム内でのノウハウの共有ができるためです。
さらに、ツールを使用すれば往来の訪問型の営業スタイルから内勤型のアプローチに切り替えられる部分が出てくるため、営業に伴う移動時間がなくなり生産性が上がるという効果もあります。
また、蓄積されたデータを自動でグラフ化する機能があるツールを使用すれば、各営業担当者の傾向やウィークポイントが可視化され、次の営業活動に活かすことも可能です。
過去の実績をデータベース化することによって、より成立への見込み度が高い顧客に積極的にアプローチが行えるようになるため、結果として生産性のアップにもつながるでしょう。
注目される理由と背景
海外では既に広く普及しているセールステックですが、近年では日本でも導入する企業が増加している傾向があります。
注目されている理由を以下にてご紹介します。
クラウド化
注目される理由のひとつに、サービスのクラウド化が普及した背景があります。
従来のシステム運用は主にオンプレミスでされていたため、導入や運用に多くのコストがかかってしまいました。
一方クラウド化が進んだことにより、低コストでシステム開発や導入が可能になり、より多くの企業がセールステック市場に参入しました。
そのため、市場規模は増加傾向にあり、現在ではセールステックのカテゴリー別にカオスマップなども作成されています
以上のように、クラウド化と市場規模の拡大という背景によって導入を検討する企業が増加傾向にあると言えます。
少子高齢化による人手不足
少子高齢化によって、労働人口が減少し、人手不足を訴える企業が増えていることも背景のひとつです。
人的負担を削減し、人手不足に備えるといった点でセールステックの導入を検討している企業も多いでしょう。
コロナウイルスの影響
コロナウイルスが流行した影響でリモートワークが普及し、これまで難しいとされてきた営業活動に関してもリモート化が進んでいることも背景にあります。
そのため、オンライン商談などのセールステックツールの需要が増えており、さまざまな種類のツールが開発されています。
これまでにZoomやGoogle Meetなどのツールでオンライン商談を行ったことのある方も多いのではないでしょうか。
また、商談だけでなく展示会など、見込み顧客を開拓するための場も減少しています。
そのため、より効率的な見込み顧客の開拓や、リードナーチャリングが求められており、SFAやMAなどはもはや営業活動において必須のツールとなりつつあると言えるでしょう。
セールステックのカテゴリー6選【SFAなど】
ここではセールステックツールを6つのカテゴリーに分けて解説していきます。
- SFA(営業支援ツール)
- CRM(顧客関係管理ツール)
- 3.MA(マーケティング施策サポート)
- BI(データの抽出/解析/管理/レポート)
- カスタマーサポートツール
- オンライン商談
1.SFA(営業支援ツール)
SFAは「Sales Force Automation」の略語で営業支援ツールと呼ばれ、顧客情報や商談内容、予算、案件の進捗状況など営業活動に関する情報全般を記録と管理を行い、売上に結びつけるためのツールです。
後ほどご紹介するCRM、MAと類似している部分もありますが、SFAは全体を通して営業活動を広くサポートしてくれるツールで、具体的には、以下のようなことが実現できます。
- 顧客の基本情報(企業名、担当者、案件内容)を管理
- 営業レポートの管理
- グラフ化などデータ分析
- やり取りや提案、商談などの活動履歴を記録
- 見積書や請求書などの書類作成
- 見込み顧客の管理
- 既存顧客の管理
また導入によるメリットとして、これまで各営業担当者がそれぞれ蓄積してきた情報が一元化されることで、営業ノウハウや地域ごとの傾向、競合情報が共有でき、効率的な営業活動に活かすことが可能です。
また、培った顧客情報や営業ノウハウなどのデータは、蓄積するだけでなく活用されてこそ初めて意味を成すものなので、SFAによってデータベース化することで適切に運用できるようになります。
以上のように、SFAを導入することによって営業活動の効率化と生産性アップを図ることが期待できます。
そのため、自社にどのようなツールが合っているか分からない、手始めに営業活動全般に関する情報を管理したいといった場合には、まずSFAの導入がおすすめです。
2.CRM(顧客関係管理ツール)
CRMは「Customer Relationship Management」の略語で顧客関係管理ツールと呼ばれ、顧客情報をデータベース化して一元管理できるツールです。
導入のメリットとして、ツールを導入することで顧客の傾向が分析できるようになり、満足度がアップすることで、結果的に売上向上に結びつきやすくなる点が挙げられます。
顧客とのやり取りや取引内容を記録し、簡単に履歴を確認できるよう顧客情報を適切に管理できていれば、リピーターにつながりやすく、取引が単発で終わってしまうといったことも避けられます。
また、新商品のリリース情報やセミナーの案内などを、顧客が求めている適切なタイミングに提案を行うことにも役立てられるでしょう。
以上のように、SFAが営業活動全般に関する情報管理を行うのに対して、CRMは主に顧客情報のみの管理を行うツールだと言えます。
また、機能の面ではSFAと重複する部分が多く、SFAの機能の一部にCRMの機能をもつものもあり、境界線は曖昧になってきている現状もあります。
そのため、顧客との関係性の強化のみに絞ったツールを導入したい場合は、CRMを選ぶのがおすすめです。
3.MA(マーケティング施策サポート)
MAは「Marketing Automation」の略語で、効率的なマーケティングを実現するためのサポートを行うツールです。
具体的にマーケティングとは、見込み顧客を商談、クロージングへと進めるために育成するリードナーチャリングを行うことを指しますが、MAはそうした施策をサポートする役割をもちます。
MAツールを活用することで、顧客の属性やアクセスの時間帯・頻度、メールの開封率などのデータをもとに、見込み顧客の受注可能性が判別できるため、最適なアプローチができるようになるでしょう。
また、自動化をあらわす「Automation」という言葉も使われていますが、実際に自動化できるのは自動メール配信などの設定のみに留まり、どのタイミングでどのようなメッセージを届けるかなどの戦略的な内容に関しては、マーケターの腕にたよる部分でもあります。
アプローチを自動化にすることで、リードナーチャリングが必要最低限の工数で実現でき、より効率的な営業活動に活かすことも可能です。
特に、営業活動は契約成立が間近な顧客に集中してアプローチしがちで、見込み顧客への対応が疎かになりがちですが、そういったコミュニケーション不足を自動化によって防止することも可能です。
そのため、見込み顧客の育成や選別を強化したい場合にMAは有効だと言えるでしょう。
4.BI(データの抽出/解析/管理/レポート)
BIは「Business Intelligence」の略語で、データを解析してグラフなどに可視化し、分かりやすく把握できるようにすることで、経営の方針決定などに役立てるためのツールです。
導入することで得られるメリットとして、データの抽出や解析、管理、レポート作成などを行うことで人的負担を削減することができ、売上分析や経営方針の決定などが容易になる点が挙げられます。
たとえば、各部門のデータの保存先がバラバラだった場合に、データ共有時にはメールなどのやり取りが必要になりますが、BIツールがあればやり取りの手間が省け、各部門で容易に共有ができるので、作業時間の削減にもつながるでしょう。
このように、BIツールの導入によって、社内のデータを総合的な視点から確認できるようになり、分析や共有が容易になります。
そのため、資料作成などの負担を軽減したい場合や、経営の方針決定を行う際に効率的なデータ解析が必要な場合などに有効だと言えます。
5.カスタマーサポートツール
カスタマーサポートはその名の通り、顧客からの問い合わせに対して電話やメール、チャットなどで対応するためのツールで、やり取りの履歴を保存していくことができ、さまざまな業種において活用できます。
ツールを活用することで、問い合わせへの対応漏れや、重複で対応してしまうといったミスを防ぐことが可能です。
特にコロナ禍の影響で、カスタマーサポートもリモートワークが行えるようオンライン化が進んでおり、どういった問い合わせがあったのか社内で共有するためにも導入は重要になるでしょう。
以上のように、カスタマーサポートが顧客の満足度を上げることでリピート受注にもつながり、結果的に生産性のアップにもつながるので、重要なツールだと言えます。
そのため、ある程度クオリティが保たれているツールを使用するようにしましょう。
6.オンライン商談
オンライン商談を行うための、ZoomやMicrosoft teams、Google Meetなどのテレビ電話ツールもセールステックのひとつのカテゴリーです。
オンライン商談を導入するメリットとして、訪問するための時間や移動費などのコスト削減が挙げられます。
また、近年コロナ禍の影響で普及したリモートワークにおいて必要不可欠のツールになってきており、さまざまな種類のツールが開発されています。
顧客へ訪問できないなど営業活動に制限が与えられている現状において、商談のオンライン化への対応は重要だと言えるでしょう。
そのため、今後商談のひとつの方法として、オンラインで行うためのツールがより活用されるようになることが予測されます。
セールステックを導入するためのポイント4選
さまざまなカテゴリーでそれぞれに機能をもつツールをご紹介してきましたが、ここではセールステックを導入するためのポイントを解説していきます。
- 自社課題に合ったツールを選ぶ
- 社員の理解と教育
- 内部体制の見直し
- 定期的な検証作業
1.自社課題に合ったツールを選ぶ
導入するためのポイントとして、まず自社の課題が解決できるかどうか検証することが重要になります。
なぜなら、自社の課題に合うツールを選定することで、費用対効果やコストパフォーマンスがよくなるからです。
多くのツールが開発されている中、自社に合ったものを選ばなければ本来の課題が解決できないどころか、コストが増大して経営を圧迫しかねません。
高機能なツールを選べばある程度の課題はカバーできるかもしれませんが、高機能であればあるほどコストも高くなるため、パフォーマンスに見合わない可能性もあります。
また、そもそも課題が何なのかが分からない場合は、導入の前に事前に社内で検討し、課題を明確にしておきましょう。
そのため、自社の課題は何なのか、課題解決に有効なツールはどれかを基準に、ツール選定を行うようにしてください。
2.社員の理解と教育
セールステックを導入して効率よく運用していくためには、社員の理解と教育が大前提です。
そのため、事前準備として社員にIT化への理解と、ツールの運用方法に関する教育をしておく必要があります。
往来の営業方法に慣れているせいか、新しいツールの導入にマイナスなイメージをもつ社員も少なからずいる可能性もあるので、導入するメリットや必要性を理解してもらいましょう。
また、企業から社員に理解してもらうだけでなく、社員の声をヒアリングすることも重要です。
実際にツールを使用する社員が、現状課題に感じていることや、実現したいことなどを事前にヒアリングしたうえで、解決できるようなツールの導入を実現しましょう。
3.内部体制の見直し
導入の際には内部体制の見直しも同時に行うことがポイントです。
なぜならIT化によるツール導入は、運用責任者や現場のリーダーなど、社内で横展開していくための人材を選出することが必要だからです。
ツールを導入したものの、社内全体で運用されなければ意味がありません。
また、誰が責任者か分からないために、社内で混乱を起こしてしまうと、ツールの導入自体が失敗になりかねません。
そのため内部体制を見直すことも、重要な要素となるでしょう。
4.定期的な検証作業
セールステックを導入する前後で、課題に対してどれくらい改善されたのか、定期的に検証作業を行いましょう。
IT化への第一歩は、ツールの導入後に検証作業と改善を行うのが大切だからです。
特に導入してすぐの段階では、新しいツールの使用方法を覚えなければならない手間や不慣れといったこともあり、効果が実感できにくい傾向があり、ツールに対して不満をもつきっかけとなってしまいます。
そのため導入してから半年までの間には一度検証作業を行い、その後も定期的に行うことをあらかじめ念頭に置いておきましょう。
まとめ
IT化や働き方改革、少子高齢化による人手不足などが背景となって、企業の営業活動にも今後ますます効率化が求められるようになると予測されます。
一方、営業活動を効率化し、生産性を向上するためのセールステックは市場規模が拡大し、さまざまなツールが開発されています。
そんな中、大企業だけでなく、中小企業にとっても自社に合ったツールを選んで運用していくことで、今後の業績にも反映することが期待できるでしょう。
しかし、ツールは導入して終わりではなく、運用して初めて効果を発揮するので、導入前に今回ご紹介したポイントを踏まえておくようにしてください。
社内で働きやすく、より効率的に営業活動が行われるよう、この機会にセールステックの導入を検討してみてください。
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