営業戦略とは、営業チームや個人にとって目標達成には必要不可欠なものです。
その営業戦略を設定する上での思考として、フレームワークの活用はとても重要になってきます。
この記事では、営業戦略のフレームワークとは何か、また営業戦略の策定順序や使い方を解説していきます。
目次
営業戦略のフレームワークとは?
営業戦略のフレームワークは、自社の環境を分析するときの枠組みを指します。
ここでは、前提知識として営業戦略とフレームワークに関する基礎知識を解説します。
- 【前提知識①】営業戦略とは?
- 【前提知識②】フレームワークとは?
- 営業戦略にフレームワークを入れるメリット
- 営業戦略にフレームワークを入れる注意点
【前提知識①】営業戦略とは?
営業戦略とは、会社で定めた営業目標を達成するために効率的かつ効果的な方策を意味します。
自社が保有しているリソースである、ヒト・モノ・カネを、いかにムリ・ムダがないように活用できるかが問われます。
ビジネスにおいて、組織の目標であるゴールへ一直線に目指すためには、進むべき方法からずれてしまうことは避けなければなりません。
たとえば、来季の営業部門の売上目標は1億円であるという数値目標がかかげられたとします。
その目標達成のためには、各チームリーダーや、配下のメンバーは日々どのような活動をするのかを模索することが営業戦略です。
また、月次、四半期ごとにはどのような目標を立てるべきなのかを考え、ショートタイムでも数値目標に向かって行動していきます。
そのためには、あらかじめ明確な営業戦略をたてることで、組織の各リーダーや部下などの社員全体がバラバラに活動しないようにします。
【前提知識②】フレームワークとは?
フレームワークとは、過去の成功事例をもとに体系化し、成功するための考え方やノウハウなどをまとめた枠組みを意味します。
営業部門だけでなく、会計やマーケティング、リスクマネジメントのシーンでも使用されています。
たとえば、経営陣から「我が社の現状について分析してほしい」と命じられた場合、自社のどこをどう分析するでしょうか。
もし、フレームワークを知らなければ、なにをどのように分析するかが分からないケースも多いでしょう。
フレームワークにはさまざまなパターンがあり、「3C分析」「SWOT分析」「5W1H分析」「STP分析」などがあります。
これらのフレームワークを、分析したい内容によって使い分けることで、自社の現状がどのような状態であるかの分析が可能となり、どんな戦略を立てるかが明確になってきます。
営業戦略にフレームワークを入れるメリット
ここで、営業戦略を策定する際、フレームワークを使うメリットについて、解説していきます。
- 戦略会議の時間短縮になる
- 戦略を立て直しやすい
- 説得力のある提案が実現
- 戦略をスタッフへ共有しやすい
- 考えが整理できる
戦略会議の時間短縮になる
フレームワークは、数学でいう公式のようなものです。
したがって、ゼロから戦略を考える必要がなく、すでにある型に必要な情報をあてはめるだけで効率的に戦略が練られます。
しかし、営業業務は数学とは異なるため、さまざまなイレギュラーな事象が発生します。
クライアントの業界や業種もさまざまで、提案する商品やサービスなどによっては、想定外のケースに対面することも少なくないです。
そのような場合は、数あるフレームワークから適したものを選定することで、新たに戦略を練られるというメリットがあります。
答えがなかなか出ない戦略会議で長く時間を要するよりも、当てはまるフレームワークを探し出し、必要な要素を当てはめることで大幅な時間短縮になります。
戦略を立て直しやすい
フレームワークは、戦略が立て直しやすいのもメリットの一つです。
たとえば、「なかなか良い成果が上がらない」といった課題が発生したとします。
しかし、なにが要因で成果があがらないか、原因が見つかりにくいことも少なくありません。
フレームワークを使用すれば、どの要素でなにを整理する必要があるかを可視化でき、原因の特定が容易になります。
改善点が明確になることで、アクションプランが明確となり戦略を立て直せます。
説得力のある提案が実現
フレームワークを活用して戦略を立てれば、説得力のある提案ができます。
たとえば、「顧客に潜在的に眠っている問題点は何か?」「課題を解決するため、自社商材でどのように解決できるか?」などが明確になります。
したがって、より具体的な資料を作成でき、説得力のある提案が可能となります。
戦略をスタッフへ共有しやすい
フレームワークの活用で、戦略や戦術をアウトプットしやすくなります。
次になにをアクションするか、戦略を1画面に表示して作戦会議が可能なので、営業スタッフへの共有がしやすくなります。
チームで連携して活動する営業部門では、全スタッフが共通の戦略を把握することで、事業の正確性やスピードを高める効果があります。
フレームワークを使用する上での、言語を共通化することでコミュニケーションミスの軽減にもつながります。
考えが整理できる
フレームワークを使えば、さまざまな考えを整理できます。
なぜなら、営業戦略を考える上でさまざまな考えが点在する際、フレームワークにあてはめることで考えを整理できるからです。
たとえば、「コストはどれくらい必要か?」「損益分岐点をこえるタイミングをいつに設定するか?」「新たに人員を採用すべきか?それとも外注するほうがよいのか?」などについて、フレームワークを使って検討すれば悩みを整理できます。
営業支援システムであるSFAを導入しうまく活用すれば、営業戦略の立案や、顧客ニーズに刺さる具体的で説得力のある提案が可能になります。
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営業戦略にフレームワークを入れる注意点
フレームワークを使用する際には、いくつか注意点もあります。見ていきましょう。
- 導入までに時間がかかる
- 思考が凝り固まってしまう
- 共通言語として定着させにくい
導入までに時間がかかる
フレームワークには種類がさまざまあります。
理解したり使いこなしたりするまでには、学習するための時間が多くかかります。
したがって、自社に初めて導入する場合はスタッフ全員に知識がないため、時間のかかることを意識しておかなくてはなりません。
思考が凝り固まってしまう
フレームワークの活用に慣れてしまうと、どうしても思考がパターン化してしまいます。
なぜなら、戦略を考えることを言わば「マニュアル化するようなもの」なので、新しいものを生み出す「考える力」が育たない可能性があるからです。
たとえば、新しい事業を立ち上げる際、「枠を超えた奇抜なアイデア」がときには必要となります。
しかし、フレームワークで考えることが当たり前になりすぎてしまうと、新しいアイデアを出しづらくなってしまうこともあるので注意が必要です。
改善点としては、フレームワークを活用しながらも、スタッフ個人の考えやどう感じているか、自分ならこのようなアイデアがあるなど、意識し続ける必要があります。
共通言語として定着させにくい
フレームワークは、活用経験が豊富なスタッフであれば解読は容易です。
しかし、はじめて読む人にとっては分からないことが多々あります。
したがって、フレームワークを機能させ、定着させるためには経営層を含めた会社全体に共通語を認識してもらう必要があります。
SFAツール(営業支援システム)を活用して営業戦略を立てましょう。
SFAの導入により、他部署間での営業情報の「共有」「可視化」ができます。
また、営業業務が効率化でき売上の最大化を実現します。
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営業戦略におけるフレームワーク7選
ここからは、営業戦略を立てる上でおすすめするフレームワーク7選をご紹介します。
- 3C分析
- 5W1H分析
- PDCAサイクル
- SWOT分析
- ロジックツリー
- STP分析
- 4C/4P分析
3C分析
3C分析とは、マーケティング戦略や事業計画を行う上で活用すると効果的なフレームワークです。
以下の頭文字からきています。
ココがポイント
- Customer :市場・顧客
- Competitor :競合他社
- Company :自社
Customer(市場・顧客)
顧客の年齢や性別、価値観や潜在ニーズなどを洗い出してターゲット層を明確にします。
また、市場規模や成長性、顧客の行動パターンなどを想定します。
Competitor(競合他社)
競合他社の市場評価を行い、規模や提供するサービスや商品の特徴、マーケティング手法を調査します。
その上で、自社との違いを分析していきます。
Company(自社)
競合他社と比較したあと、自社の強みは何かを分析していきます。
自社の売上やリソース、過去の営業情報、市場シェアなどに着目して洗い出します。
逆に、自社の弱みについても洗い出していきます。
5W1H分析
5W1Hとは、以下の頭文字をとったもっとも有名なフレームワークの一つです。
ココがポイント
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
5W1Hを6つの問いに置き換えることによって、さまざまに考えをめぐらせて思考の整理に使用することが可能です。
5W1Hをうまく活用することで、営業戦略に関するプレゼンや顧客への提案内容が、非常に説得力をもったものになります。
PDCAサイクル
ビジネスではよく使用されるフレームワークのひとつです。
ココがポイント
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(確認)
- Action(行動)
ビジネスシーンでは非常に有名なフレームワークで、主に戦略立案の進捗確認で活用されます。
また、何度もPDCAサイクルを回すことで改良や改善点を加えられ、高速化することも可能です。
SWOT分析
SWOT分析は自社の強みや弱み、内部環境と外部環境の関係性を分析するためのフレームワークです。
以下の4つから構成されています。
ココがポイント
- Strengths(強み)
- Weaknesses(弱み)
- Opportunities(機会)
- Threats(驚異)
たとえば、以下のように分析します。
機会と強みでは、プラスとなる外部環境と内部環境、脅威と弱みではマイナスとなる外部環境と内部環境を分析できます。
外的要因と内的要因のプラスとマイナスの要素を明確にすることで、自社の置かれた現状が把握できます。
それにより、今後自社がどうすべきかという戦略を練られるメリットがあります。
ロジックツリー
ロジックツリーは課題に対して「Why(なぜ)」と「How(どうやって)」をくり返し深掘りすることで、問題を要素分解していくフレームワークです。
たとえば、「月次の予算未達成が続いている」という課題に対し考察するケースを解説します。
月次の予算達成をするためには、どんなことをするのが必要かを考え、以下2つの要素へ分解していきます。
ココがポイント
- 新規案件を増やす
- 原価(コスト)をおさえる
次に、「新規案件を増やす」ためには、商品の広告を増やしたり、既存顧客に対するアップセル/クロスセルが必要などの施策が洗い出されていきます。
原価(コスト)を抑えるためには、仕入先を変更したり、広告費を落とすためにテレビCMをやめて、デジタル広告へ移行したりします。
この深掘りをくり返し、どんどん分解していくことで最終的に次のアクションプランが明確になります。
STP分析
STPは以下の3ステップで構成されています。
ココがポイント
- セグメンテーション:市場の細分化
- ターゲティング:狙う市場(顧客)の決定
- ポジショニング:自社の立ち位置を決定
STP分析は、競合他社に勝つための基本戦略を立てる際に使用するフレームワークです。
SWOT分析や3C分析によって課題が抽出されても、営業戦略を策定するのにはまだ必要な要素が足りません。
SWOT分析や3C分析は、まだ準備段階の調査であるためSTP分析によって具体的な営業戦略へと策定していきます。
自社の強みを活かして、どの市場(顧客)に対し、どのようにアプローチしていくのかを決定します。
4C/4P分析
4C/4P分析は別名「マーケティングミックス」と呼ばれています。
古くからあるマーケティングの考え方ですが、現代でも重要なフレームワークとしてビジネスシーンで広く活用されています。
4C分析
4C分析は、自社の商品やサービスを分析するための手法です。
以下の4つの要素から成り立っています。
ココに注意
- 価値(Customer Value)
- コスト(Cost)
- 利便性(Convenience)
- コミュニケーション(Communication)
消費者の目線に立って分析や評価をすることで、商品やサービスの開発や改善に役立てられます。
4Cに当てはまる自社製品の特徴を書き出し、顧客に与えるメリットを整理していくと良いでしょう。
4P分析
4P分析は、サービスや商品の開発段階で力を発揮するフレームワークです。
売り手側の視点から見た、以下4つの要素から構成されています。
ココに注意
- 製品(Product)
- 価格(Price)
- 場所(Place)
- プロモーション(Promotion)
「製品」は質の高い価値ある商品を、「価格」は市場の相場をふまえた価格戦略を立てて行きます。
「流通」は、ペルソナやターゲットに合った販売戦略・経路、「プロモーション」は広告活動をしっかり予算内で活動することなどを策定します。
どれか一つの要素をおろそかにしてしまうと、販売が失敗することにつながります。
全ての要素に対し、確実に検討していくことで商品開発を実施する上での失敗が起こりづらくなります。
営業戦略フレームワークの策定順序と使い方
ここからは、営業戦略を立てるためのフレームワークを使った手順について解説していきます。
- 営業目標の設定
- 事前分析とリサーチ
- 営業方法を把握しておく
- 営業活動とPDCA
営業目標の設定
営業戦略を立てたり、予定通りに実行したりするためには、営業目標をしっかりと設定する必要があります。
それには、KGI(組織の最終的なゴール)とKPI(目標に向かって現状がうまく行っているかの指数)の設定が必要になってきます。
また、4C分析を行って製品をどのくらいで提供するかを決定します。
たとえば、新しいネイルを開発するとします。
毎週毎週ネイルに通うにはそれなりの手間やコストがかかります。
そこで、価格はサブスクリプションコースを用意したり、貼るタイプのネイルであれば、ECサイトから購入できるようにし、送料はサブスクの料金範囲内とします。
顧客とのコミュニケーションには、公式のSNSアカウントを作成し、新商品をアピールしたり、顧客のコメントへ返信したりします。
事前分析とリサーチ
フレームワークを活用するための、事前情報を取得するためには、まず3C分析を活用して外部環境の事前分析を行います。
営業戦略を立案するには、自社の内部の分析と顧客や競合、市場などの外部環境に関する以下、5つの分析が必要です。
競合調査
競合分析とは、自社サービスと競合する製品の特長や価格、シェア数・強みなどを分析します。
それによって、どう差別化を図るか戦略を練ります。
市場調査
自社が参入を考えている市場のトレンドや市場規模を分析します。
それにより、今後どのような課題が市場で発生するかなどを分析することで、営業戦略に反映します。
ターゲット顧客
顧客の購買行動や課題を分析することです。
営業戦略を策定する際、どういったストーリーで進めるかが検討しやすくなります。
また、どんな提案が顧客にとって効果的なのかを想定できます。
売上の想定
自社の売上データを分析することで、今後の売上の予測が可能となります。
分析の結果は、売上が減っている顧客へどうフォローするか?
既存顧客へ対する具体的なアクションプランはどうするか?
など、優先順位をつけるための判断がしやすくなります。
自社の分析
内部を分析することで、自社の強みをいかした営業戦略が作成できます。
現在のKPI値からみて、改善すべきプロセスなどを洗い出し、強みをいかしつつ改善していくことが重要です。
営業方法を把握しておく
戦略が策定されたら、次は具体的な「戦術」を設定し実施していく必要があります。
問題なく遂行していくためには、どんな営業方法によって営業活動をしていくか、スタッフが把握しておくことが重要です。
営業方法には、以下のようにさまざまな手法があります。
営業活動とPDCA
営業戦術や営業方法が決定すれば、その営業方法・営業戦術ごとに営業アクションプラン(営業計画)へ落とし込む作業となります。
営業アクションプランは、いつまでにやるのか?具体的にどう展開するのか?5W1Hに当てはめて決定していきます。
そのアクションプランに従って、日々の営業活動を実施しながらPDCAサイクルを回していきます。
PDCAサイクルを回すためには、KGI・KPIを可視化したレポートである「KPIツリー」や「ロジックツリー」を作成し、営業活動を遂行しながら過去や現在と比較して常に改善やチューニングを行っていきます。
日々の営業活動を可視化し分析するために優れた営業支援システムであるSFA。
効率的に営業戦略やKGI・KPIを達成するため、必要不可欠なSFAツールの比較について以下の記事でわかりやすくまとめています。
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まとめ
営業戦略を作成する上で、フレームワークを活用することは必要不可欠です。
なぜなら、戦略を練るために思考を整理し、論理的に戦術を考えることで、抜けのない営業アクションプランを策定できるからです。
また、公式に必要な要素を当てはめるだけでよいため、営業戦略会議や営業プロセス全体の時間短縮につながります。
人材不足や市場の変化により、現代の営業スタイルはロジカルかつ合理的な営業手法を採用する企業が増えています。
そのためには、SFAツールを活用して営業活動の効率化を図るのも手段の1つです。
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